ずーっと胡散クセェ雰囲気出してた野郎にしてはあっけねェっつーか
肩透かし食らった感もある合流だよな……
っつーかサキュバスァマジいだろ
あンなもん思春期のガキに渡すな
ビャウォヴィエジャの森 輝きの森 6/22 AM6:30
「やぁ、お目覚めのようだね。どうするしのちー、後方支援にまわるかい?」
目を覚まして耳に入った第一声は王様のンな声だった
負った傷は常時であれば致命的な筈だが、生命賛歌のおかげで
僅かな痛みが体の芯で鈍く主張をするだけで、体を動かす事も全く支障はない
「……冗談だな、俺ァまだまだやれんぜ」
「…あっきれた、全っ然懲りてないんですね。六甲アイランドであれだけ皆に怒られたのに」
全く唐突にそんな二人目の声が闖入してきた
「…ぁー、久しぶりじゃねぇか」
いつからいた、と西に視線で問うと、気取った仕草で野郎は肩を竦めた。
ずい、とその視線を遮るように島原が心底呆れたといった顔を出す
「ついさっき、真魚と一緒についた処です。で、手伝いに前線に来てみたら見慣れた人が引き摺られていったので」
「…だそうだよ、で、本当にまだ行くのかい? それなら、誰か援護につけようか」
「……ぁー…いや、丁度いい。手伝え、佳魚」
「はぁ?! ばっかじゃないですか?! 怪我人なんだから引っ込んでてくださいっ…大体、それって人に物を頼む態度じゃないですよ」
「…ぁー、そうか、ならいい」
「しのちー、一応僕は止めておいたからね?」
「ちょっと、センパイ…!」
島原の抗議をBGMに肩を竦めて西に返事を返す。
詠唱銀のおかげでやたらと頑丈になった時計に目をやると、再度の侵攻まではまだ僅かばかりの余裕がありそうだった。
「やれやれ、若にも困ったものだね…では、次は何処に行こうか。リベンジかな?」
「…ぁー、そうだな……やられっぱなしってのも…」
ゴツンと後頭部に鈍い衝撃。
「センパイって、本っ当にマゾですよね……援護もなしに、そんなの本当に死にに行くものじゃないですか」
はぁ、とわざとらしく大きくため息をつく島原。
「……本隊の侵攻も遅れてるらしいから、そっちに回ってください。砦に抑えに行くよりはいくらか安全だし、ちゃんと戦えますから。…それなら私も手伝います」
でなければ行かせないと言わんばかりに緑の瞳が主張していた
「……ぁー、それでいいか西」
「いいんじゃないかな、僕がブラザーや凪君に怒られる可能性も減りそうだしね」
「決まりだな…頼むぜ佳魚」
「……こういう時だけ頼るの、やめてください」
また盛大なため息が響いた
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ポーランド北東部 ビャウォヴィエジャの森 6/22 AM1:55
…クソ眠ィ目を擦って欠伸を一つ
時差ボケってのァ初体験だが、どうにも気色悪くて仕方ねぇな
戦闘開始の合図を待ちながら薄暗ェ原生林を駆け抜ける
気ままに地表に顔を出す木々の根と、森特有の湿った腐植土にももう慣れた
周りを見てもイグニッション状態で派手にひっくり返るようなマヌケも居ねェ
地の利が人狼連中にあんのァ間違いねェだろうが
それ以上のハンデは負わずに済みそうだ
強化された視界の先、遠く、森の奥に動く影を見た気がする
速度を緩め、時計に目を遣る
最初に口うるさく聞かされた侵攻地点への予想到達はAM2:00前後…
もう間も無くだった
視線を前へと戻したその時、馴染んだ感覚が体に満ちる
生命賛歌
重傷を負っても動きは鈍らず、非常識なタフさをくれる
ゴキゲンなメガリス破壊の副産物
血の気の多い連中の雄たけびが世界遺産の森に響き渡る
「…さぁて、喧嘩だ。派手に行こうぜ」
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ちぃと顔をださねぇうちになんだかんだあったらしくて軽い浦島
まぁ適当にぶらつくか…
とりあえずなんだかんだでネタもねぇんだが、こっちも死んだままってのものなんだからな
バトン消化しとく
束原から
【豹変バトン】
陰陽都市計画だとか大層な妄言潰しの後、
凪、西、藤原の野郎どもとの最後の一暴れも無事終わり、
教室が片付けられて正式に卒業の手続きが済んだ。
派手に咲いた桜が潔く散り始める中、
珍しい顔が久しぶりに顔を見せた。
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